グランド セイコーの歴史(GRAND SEIKO)

GRAND SEIKO(グランド セイコー)   創業年=1881年
  創業地=日本、東京

時計王国スイスの牙城に立ち向かった日本の獅子

日本で独自の開発を続け世界屈指のブランドに発展
  日本国内の最高峰であり、世界でも希有な高級時計ブランドとしてその名が知られているグランドセイコー。このブランドを語るには、まず母体となるセイコーの歴史を振り返る必要がある。
  セイコーは、1881年に当時の東京市京橋区でスタート。1892年には、時計の製造工場「精工舎」を創設し、3年後には初の懐中時計、タイムキーパーを製作。腕時計への着手は比較的早く、1913年には国産初の腕時計、ローレルを製造した。その後、セイコーは時計王国スイスに追いつき、追い越せとばかりに意欲的な時計開発を開始。その象徴のひとつが、グランドセイコーである。
  1960年から展開されたグランドセイコーは、独自の厳しい精度基準を設定し、15日間に及ぶテストを経て、これを満たしたものだけが商品として世に送り出された。当時の価格は、一般的な会社員の初任給の約2倍にあたる、2万5000円という高額なもの。日本人にとっては、まさに憧れの時計だった。1963年よりスイスの天文台で開かれていた精度コンクールに出品を開始。年を追うごとに技術を向上させ、1967年度のヌーシャテルコンクールではセイコーが上位を独占するという快挙を成し遂げた。その2年後には、グランドセイコーから月差±1分以内、日差にして実に±2秒という高精度を誇るグランドセイコーV.F.A.(Very Fine Adjustedの略)が登場。極限の正確さを獲得した。しかし、同年にセイコーが開発した世界初のクオーツ腕時計により、グランドセイコーの一時代は、その幕を閉じることとなる。
  再びセイコーのラインナップにグランドセイコーが加わったのは、1988年。年差±10秒という高精度ムーブ、95系キャリバーを搭載したクオーツモデルとして復活したのだ。その10年後には、伝統の技を甦らせた9S系メカニカルキャリバー搭載モデルも復活。かつての自社基準をより厳しくした新GS検定によって、グランドセイコーは着実に威厳を取り戻していく。そして、2004年。グランドセイコーから満を持して発表されたのが、独自開発による「第3の駆動方式」スプリングドライブキャリバー9R系搭載モデルだ。圧倒的な精度と伝統の技術、それと最新のテクノロジー。これらすべてが融合したまったく新しいモデルにより、グランドセイコーの健在を改めて世界中にアピールした。
  現在のグランドセイコーは、3つの駆動方式に加え、かつてセイコーが独自開発した機構を備える高性能なダイバーズやクロノグラフが揃っている。さらに2009年には、約40年前に開発した61GSを彷彿とさせる、毎秒10振動のハイビートメカニカルウォッチを開発。脱進機のパーツから見直された新型ムープは、優れた耐久性、安定性を誇る。この新型の加入により、国産マニュファクチュールの最高峰ブランドは、新たな可能性を切り拓いていくはずだ。

― グランド セイコーの歴史(GRAND SEIKO)―

1960 初代グランドセイコーを発表
1964 日付機構を搭載した2代目グランドセイコー、GSセルフデーターを発表
1966 4時位置にリューズを配置した初の自動巻きモデル、62GSを発表
1967 亀戸の第二精工舎が初めてのグランドセイコー、44GSを製造
1968 国産初の自動巻き10振動モデル、61GSを発表。セイコー独自のマジックレバー方式も採用した当時のセイコーの最高峰モデルだった。同年、婦人用の高精度モデル19GSも登場。
1969 10振動キャリバー61GSに特別調整を施し、機械式時計で月差表示をした歴史的なモデル61GS V.F.A.を発表。
1970 薄型モデル56GSを発表。この頃より以降、グランドセイコーは一時製造中止
1988 95系クオーツを搭載した年差モデルとしてクオーツのGSを発表
1993 現行まで続く「クオーツを超えるために生まれてきたクオーツ」9F系の製造を開始
1998 20年以上の時を経て復活、新生したグランドセイコー専用機械式ムーブメント、9Sの製造を開始。この時から17日間に及ぶ新GS検定が実施される
2004 ゼンマイ駆動でクオーツ並みの精度を実現する革新ムーブ、スプリングドライブ駆動の9R系の製造を開始
2005 自動巻きスプリングドライブにGMT機能を追加した9R66の製造を開始
2006 1つの香箱で最大巻き上げ時約72時間のロングパワーリザーブを実現した自動巻きキャリバー、9S67の製造を開始
2007 自動巻きスプリングドライブにクロノグラフを追加した9R86の製造を開始
2008 自動巻きスプリングドライブ9R65を搭載した、グランドセイコー初のダイバーズウォッチの製造を開始
2009 グランドセイコーのために41年振りに新規開発された、自動巻き10振動を誇る9S85を搭載した、メカニカルハイビート36000の製造を開始