創業年=1865年 創業者=ジョルジュ・ファーブル・ジャコ 創業地=スイス ル・ロックル |
高度な技術力から産まれた傑作エル・プリメロに
高品位な仕上げと独創的アイデアをプラス
マニュファクチュールとして世界に示してきた高い技術力 ”ゼニス”とは、時を計るのに不可欠な「天頂」を意味する。スイスのル・ロックルにあるゼニス工場は、夜になるとまさに満天の星空。その輝きのように、ゼニスは多彩で個性的なコレクションを携え、時計界の頂点を目指してきた。時計の心臓部に当たるムーブから一貫して自社で生産を手掛けるメーカーを、マニュファクチュールと呼ぶ。この一貫生産システムを築いたのは、創業者のジョルジュ・ファーブル・ジャコ。1865年、22歳の若さでスイスのル・ロックルに時計工房を設立した彼は、時計が一般の人々に普及することを予想し、いち早くこのシステムを作り上げた。大成功を収めたゼニスは世界各国に販路を広げ、数々のコンテストでも優秀な成績を残す。そして1969年、衝撃的な新製品を発表した。それが「エル・プリメロ」である。一般的にテンプの振動は高速であるほど、精度を突き詰めるのに有利といわれているが、エル・プリメロは毎時3万6000振動に到達。7年あまりの歳月をかけて、耐久性の問題もクリアした。エスペラント語で、”ナンバー1”を意味するこのエル・プリメロで、不動の名声を手にしたのである。 1970年代半ば、クオーツの台頭を受けて一度は生産中止となったが、1980年代に機械式時計が見直されると、この名機も復活。以後、ゼニスはエル・プリメロを軸に次々と傑作を発表する。大きな転換期を迎えたのは、20世紀に入ってからのこと。LVMHグループへの移行に合わせて、ラインナップ全体に高級化が図られたのだ。エル・プリメロ自体のバリエも増え、ティエリー・ナタフCEOの手腕も冴え渡った。徹底的にデザイン性と仕上げを追求した結果、たとえばクロノマスターには5000もの工程が必要となり、20人の職人で9か月かかるという。手作業で取り付けたインデックスや、丁寧に面取りした日付表示などの小窓を見れば、熟練職人がいかに細部まで完璧を期しているか、作り手の熱い思いが伝わってくるはずだ。新生ゼニスはこれまで同様のパワフルなムーブに加え、”高品位”という新たな強みも手に入れたのである。 シースルーバックだけでなく、腕に着けたまま文字盤からも毎時3万6000振動のテンプの動きを楽しめる”オープン”の世界的な成功に続いて、2006年には究極のスポーツライン”デファイ”を発表。グラマラスなボディに、スクリューヘッドの回転ベゼル、力強いブレスと相まって、強烈な存在感を発揮する。それでいてエレガントさも忘れてはいない。2008年にはシックなブルーを基調とした新ライン ”シー”を発表してデファイのモダンな一面を押し進める一方、ムーンフェイズ搭載モデルやニューヴィンテージ1955などの秀作による”回帰”の動きも目立つ。「天頂」を目指してきた140年を超える歴史と、持ち前の繊細なエレガンスが、ゼニスの魅力を大きくまた一歩、前へ押し出した。 |
― ゼニスの歴史(ZENITH)―
1865 | ジョルジュ・ファーブル・ファコがスイスのル・ロックルに前身のマニュファクチュール・ド・モントル社を設立。現在も同地で操業 |
1875 | ゼニスの工房が、ル・ロックル人工の3分の1を雇うほどに成長。懐中時計、振り子時計、天体振り子時計、船舶計器を製造 |
1896 | スイス国内博覧会で金メダル受賞 |
1900 | 新型リューズ巻きムーブ、ゼニスを開発。同年、フランスのパリで開催された万国博覧会で同社の懐中時計が金賞を受賞 |
1911 | 社名をファブリック・デ・モントル・ゼニス社に変更。創業者ジャコが夜の散歩中に天空を見つめながら、時を計るのに不可能なもの「天頂(=ゼニス)」をブランドの象徴にした |
1920 | 200万個もの時計を製造。以後、ジュネーブ、モスクワ、パリ、ウィーン、ニューヨークに次々と支店を構えていった |
1945 | ヌシャテル天文台のコンテストでキャリバー135が精度記録を塗り替える |
1948 | ゼニス初の自動巻きムーブメントを開発 |
1969 | 自動巻きクロノグラフ・ムーブメント、エル・プリメロ開発 |
1970年代 | クオーツ台頭で、エル・プリメロが生産中止 |
1981 | エル・プリメロの生産が再開される |
1986 | エル・プリメロ搭載モデルが発表される |
1994 | 薄型の自動巻きムーブメント、エリート誕生 |
1997 | フランス空軍の協力により、レインボー・フライバックが開発される |
1999 | LVMHグループに加わる |
2003 | 文字盤からエル・プリメロの動きが見られるグランド クロノマスターーXXT・オープンを発表。世界的な人気を獲得する |
2004 | オープンにスモールサイズ、トゥールビヨン、レディス版が加わり、ラインナップを強化 |
2006 | スポーティシックな新ライン、デッファイ誕生 |
2008 | デファイ、オープンほか多数の新バリエ発表 |