時計のパーツ◆文字盤◆

◆文字盤◆ ブランドのこだわりが表れる時計の顔

  機械式時計においては、文字盤の素材は昔からあまり変わっていません。基本的には真鍮を素材としたものが大半で、プレス加工によって打ち出され、メッキ処理、塗装処理を施し、仕上げを行います。
  文字盤の表面の仕上げで特に強調したいのは、職人の手作業によるもの。ギョーシェのほとんどは手旋盤によって彫刻され、ヘアラインもまた、熟練の職人の手によるものが多いです。装飾だけでなく、製法も昔ながらの職人の魂が息づいています。
  そして近年は、さらに手の込んだ文字盤が多彩に登場しています。ひとつは古典的な製法の復活です。例えば高級品を中心に、陶磁器や七宝焼が使われきています。特に陶製文字盤は、腕時計の黎明期に一般的にみられたものでした。他方、先端技術の粋を集め、カーボンファイバーのような先端素材やメテオライトのような特殊素材を文字盤化することも珍しくなくなりました。古典から新鋭まで、現代の文字盤は百花繚乱です。

文字盤・プレーン 【プレーン】
表面をフラットに仕上げ、塗装などを施す最もポピュラーなタイプである。光沢感のあるミラーからツヤを消したマットで、着色により表情も自由自在。
文字盤・プレーン 【サテン】
サンドブラストや金属粒子の吹きつけなどでサテン地に仕上げたもの。凹凸感の強いものを「梨子地」とも呼ぶ。表面の反射を抑制する実用的な意図がある場合も。
文字盤・ギョーシェ(格子) 【ギョーシェ(格子)】
文字盤の表面に、細やかな碁盤目上の凹凸を彫金。高級時計では、職人が手旋盤によって刻み、ひとつひとつのブロックをピラミッド状に成形することもある。
文字盤・ギョーシェ(ウェイブ) 【ギョーシェ(ウェイブ)】
ギョーシェの中ではポピュラーで、細やかな波形の模様を刻みつける。写真のように水平方向に刻むほか、中央から放射状に刻みつけるパターンもある。
文字盤・ブロックパターン 【ブロックパターン】
エンボス加工などによって、格子状の大柄な格子パターンを刻む。「タペストリー」と呼ぶことも。文字盤に立体的な視覚効果を強めに与えることができる。
文字盤・ヘアライン(ラディアル) 【ヘアライン(ラディアル)】
繊細なラインを文字盤に刻む。右の場合は、文字盤のセンターから外へ向け放射状にラインが配され、光線の加減で、美しいグラデが現れる。
文字盤・スケルトン 【スケルトン】
シースルーバックと同様に、文字盤をシースルー化し、ムーブメント全体を鑑賞できる。ムーブメントにも中抜きを施し、フルスケルトンにすることも。
文字盤・コンセントリック 【コンセントリック】
「レコード引き」とも呼ばれる。文字盤の全体もしくは一部に、同心円状の溝またはヘアラインを刻む。クロノグラフではインダイヤルのみに施す場合もある。
文字盤・サンビーム 【サンビーム】
文字盤の中央から外へ向け、放射状に溝を彫る。ヘアラインより強く陰影が出やすい。よりアクセントを強くするため、溝の深さや幅に変化を付ける場合も。
文字盤・グラデーション 【グラデーション】
色彩に濃淡のグラデーションをかけた塗装方法。光の当たり加減によらずとも、デザイン効果が出せる。中心側を淡く、文字盤側を濃くするパターンが多い。
文字盤・オープン 【オープン】
文字盤に小窓を開けて、ムーブメントの一部を見せるようにしたもの。ほとんどは機構の中心であるテンプの動作を見せる。メカ好きに好まれている仕様だ。
文字盤・アニマル 【アニマル】
文字盤上に奇抜なアニマルパターンを施したタイプ。アクセサリー的な効果を生み出せる。