用語集【さ~そ】
サイクロップレンズ
離れた位置からでも日付を読み取りやすくするため、ガラスを加工して日付け数値を拡大表示するためのレンズ。通常は平坦なサファイクリスタルの表面に、レンズガラスを接着加工してある。
サーティファイド・マスター・ウォッチメーカー(CMW)
アメリカで始まった時計職人のための技術試験。一次、二次と5日間にわたり厳しい試験が行なわれ、合格者にはヨーロッパの時計マイスターと同等の技術資格と認定される。日本では1954年から日本の時計産業を復興し、時計職人の技術力を上げることを目的に導入している。学科試験のほかに巻真を作ったり、腕時計を修理したり調整技術の試験など、難解な実技試験が用意されているが短期間で廃止になった。
サテン仕上げ
ケースやブレスなどの金属表面に、サテン繊維のような細かいスジ模様が入った加工方法。光の反射を抑え、シックでスポーティーな印象に時計を装うことができる。ちなみに、このタイプの加工が施された時計は、研磨剤成分を含んだクロス類で磨くと、サテン部分にムラができたり、ハゲてしまうこともあるのでケアの際には注意が必要。
サファイアガラス
人工的に作られたサファイアのガラスだが、天然サファイアと同等の硬度を持つ。人工サファイアをカットし研磨したもので、傷つきにくく防湿性に優れ、透明度が高いので文字盤が見やすいなどのメリットがある。加工が難しいため高価で、主に高級腕時計の風防に使われている。
サボネット式ケース
ケースの表や裏に開閉式のカバー=蓋を付けた時計のこと。
ザリウム
低アレルギー物質で、高硬度なジルコニアを主成分とする合金。外科手術用のメスなど医療器具にも使用される素材で、金属アレルギーを発生しにくく、耐久性や耐腐食性にも優れた特性を持っている。
30分積算計
クロノグラフ機構をスタートさせると、センターのクロノグラフ秒針と共に動き出す、「分」を積算表示するサブダイアル。クロノグラフ秒針が1周するごとに1分ずつ針が目盛りを刻み、30分までを計測することができる。
三針時計
時針、分針、秒針のみのシンプルな時計のこと。三針が全てセンターにあるタイプや、スモールセコンドなど秒針が離れたタイプも三針時計と言う。日付窓の有無は関係ない。
3番カナ
2番車から動力を受けて3番車を回転させるための歯車。3番車の真軸を覆うように付いている。
3番車
2番車から伝わってきた動力を4番車へと伝える働きをする増速歯車。基本輪列を構成するパーツのひとつ。
地板
ムーブメントのパーツを組み込むための母体となる金属製の基盤のこと。ゼンマイや脱進機など様々なパーツがこの地板と受け板の間に収められて動いている。
GMT
グリニッジ・ミーン・タイムの略で、1884年に国際子牛線会議で決められたグリニッジ標準時のこと。イギリスのグリニッジ天文台での天体観測を元に決められた時刻で、昔は世界標準時とされていたが現在では原子時を元にした協定世界時が使われている。また、第2時刻が読み取れるワールドタイム機能を意味することもある。
時差
地球上の2地点間での標準時間差のこと。経度15°で1時間の時差となる。グリニッジ標準時が基準となっているため、イギリスから何度差があるかで決まる。日本とイギリスとの経度の差は135°なので時差は+9時間となる。
時差修正
時計を動かしたままで、時間単位の時刻修正ができる機能のこと。
指示差
時計が示す時間と標準時間(協定世界時)との差。
シースルーバック
裏蓋に透明な素材(サファイアガラスなど)を使うことによってムーブメントの動きを見ることができる仕様のこと。ブリッジの不要な部分を切り抜いて、両面から透けて見えるものをスケルトンと言う。どちらも高級時計に見られる。
姿勢差
地球には重力があり、重力は一定方向で一定の大きさでも脱進調速機は様々な姿勢になる。その重力の影響によって生じてくる誤差を姿勢差と言う。置き時計や掛け時計なら一定だが腕時計は常に時計が動いているため誤差が生じやすくなる。その誤差を減らすための機構がアブラアン・ルイ・ブレゲが発明したトゥールビヨン機構である。
自動巻きムーブメント
ローターと呼ばれる半円形の部品が腕の動きによって回転し、その回転が歯車に伝達されることで、自動的にゼンマイを巻き上げる機構を搭載したムーブメント。
ジャイロマックステンプ
テン輪の外周上に付いているチラネジの代わりに、天輪上に取り付けられたC形のピンに調整ウェイトをはめ込んだテンプ。1949年にパテックフィリップ社が特許を取得した調速機構で、チラネジ付テンプよりも計時制度が向上した。
シャンパンゴールド
グラスに注がれたシャンパンのような、透明感のある輝きを放つゴールドのこと。
ジャンピングアワー
分針が1周する動力を利用して時を示す文字盤を瞬時に動かす機構。つまり、正時になると同時に文字盤の数字も動く機構のこと。
18金イエローゴールド
一般的には純金75%、銀と銅を25%の合金を指し、18金イエローゴールドと呼ばれる。ケースやブレスレットの素材として使われているが、ムーブメント部分にまで及ぶメーカーもある。
ジュネーブサロン
1991年にカルティエグループがジュネーブで開催した内覧会で、翌年から年1回のサイクルで時計展示会として開催されることになった。現在ではリシュモングループを中心として14ブランドが参加している。
ジュネーブ・シール
ジュネーブ市が制定した、クロノメーター規格よりもさらに厳しい規格に合格した時計に与えられる認証。ムーブメントの品質や組み立てなど、最高レベルの基準にクリアしたムーブメントにはジュネーブ市の紋章が刻印される。取得しているのはパテックフィリップが中心。
ジュネーブ・タイム・エキシビション(GTE)
2010年からスイス・ジュネーブで開催され始めた、新たな新作時計発表会。アントワーヌ・プレジウソやアラン・シルベスタイン、hD3コンプリケーションなど、38ブランドが参加して行なわれた。
植字
文字盤に小穴を開け、はめ込むタイプのロゴやインデックスのこと。またはインデックスなどを取り付けることを指す。アップライトとも言う。
シリアルナンバー
ひとつひとつの時計に付けられる通しの固有番号。シリアルナンバーで製造年月を管理しているメーカーもある。
シリコン製ガンギ車
通常は真鍮や合金で製造されるガンギ車を、特殊なシリコン素材としたもの。金属製のガンギ車と異なり、アンクルのツメと接触しても摩擦や磨耗が極端に少ないので注油の必要もなく、長期間の安定した精度維持と抜群の耐久性を得ることができる。
シリンダー脱進機
ガンギ車の歯がテンプの円筒形回転軸と噛み合って作動する脱進機で、古典的な柱時計などに使われていた。精度は高いものではない。
振動子
振動する物体のことを言い、時を刻む基準となる。調速機に使用される振り子やテンプなどがある。
振動数
振り子時計では振り子が機械式時計ではテンプ、クォーツでは水晶が揺れる回数のことを言う。基本的に振動数が多くなれば時計の精度が上がるが、その分摩擦や磨耗も激しくなる。そのため耐久性に問題が出てくるので、高振動数だからといって必ずしも高精度ということにはならない。
スイス公認クロノメーター協会
ジュネーブに本部を置き、時計の品質向上を目的とし設立されたクロノメーター規格の試験を行なっている機関。その他時計精度の検査なども行なっている。
スイープセコンド
クオーツ時計はステップモーターで運針を行なうため、通常はカチッカチッと1秒ずつを区切った独特な運針を行なうが、特殊な輪列機構を用いることで、機械式時計に似た滑らかで流れるような運針を行なう、クオーツ時計の秒針。
スウォッチグループ
SSIHグループのリーダーであったオメガ、ASUAGリーダーのロンジンなどが結集して組織された時計企業連合。スイスでは最大勢力を誇るグループで、オメガやブレゲ、ブランパン、ティソ、ロンジン、ラドー、グラスヒュッテ・オリジナルなど著名時計ブランドを始め、ムーブメント製造メーカーとして著名なETAなどもここに属している。
スクエアケース
四角形のケースのことで、基本的には文字盤も四角形のデザインをしている。
スクラッチプルーフ
1962年にラドーが開発した超硬合金素材。炭化チタンニウムとタングステンから成り、特殊加工技術で磨き上げられているので耐傷性に優れている。
スクリューバック
ダイバーズウォッチなどに多くしようされるねじ込み式の裏蓋のこと。気密性と防水性を高めるために、通常パッキンと組み合わせて使われる。各メーカーのモデルに合わせて、専用オープナーがあることが多い。
スケルトン
地板やブリッジを透かすことによって、内部構造が両面から見えるようになったもの。シースルーはシースルーバックと言い、裏蓋が透明で機械が見えるもののこと。
スケルトン針
時計、分針の全体または先端が菱形にくり貫かれたものは通称「亀頭針」と呼ばれる。
ステンレススチール
鉄にクロム(Cr)やニッケル(Ni)を混ぜた合金。クロム成分が空気中の酸素と化合して表面に保護皮膜を作るため、サビが発生しにくい特性を持つ。一口にステンレススチールといっても、マルテンサイト系やフェラサイト系、オーステナイト系など、含有成分や用途によってその種類は数百種に及ぶが、時計のケースやブレスレットには加工が比較的容易で防錆性に優れた、オーステナイト系の304、316Lが主に使用されている。
スプリットセコンドクロノグラフ
ラップタイム(中間地点から次の地点までの経過時間)を計測することができる機能を持ったクロノグラフ。スタートを押すと2本のクロノグラフ針が計測を開始する。途中でストップ用のプッシュボタンを押すと1本だけ止まり、経過時間を計ることができる。再びプッシュボタンを押すと1本だけ止まり、経過時間を計ることができる。再びプッシュボタンを押すともう一本の秒針に追いつき、再度測定し始める。
スプリングドライブ
1998年にセイコーが開発したオリジナル機構。ゼンマイを動力源としながらも、調速をクオーツのようにIC回路と水晶振動子で行なう方式の時計。ICやモーターの駆動電力はゼンマイで発電されるため電池は不要。環境に優しい新世代の駆動方式として、世界中の時計関係者に高く評価されている。
スムーズテンプ
バランスを調整するチラネジやアジャストスクルーネジがないシンプルなテンプ。設計段階でバランス調整が行なわれている。温度による膨張率の少ない金属で作られていて、チラネジ付きのテンプのように温度補正の必要がない。
スモールセコンド
一般的な時計は秒針が時針、分針と同じセンターに付いている(センターセコンド)が、スモールセコンドとは時分針から離れた場所に秒針を持つインダイヤルのことを言う。小秒針とも言う。
スモールダイヤル
インダイヤルと同義語。
スライディングギア
クロノグラフでストップウォッチをリセットする時に働くギアで、反時計回りに移動することによってスライディングギアに付いた歯車とクロノグラフランナーに付いた送り爪との接触を避ける。
スワンネック
形状が「白鳥の首」に似ていることから名付けられた、誤差を微調整する緩急針の一種。組み立てや調整には繊細で緻密な熟練技術を要するため、主に高級時計に採用されている。
世界時計
文字盤やベゼル部分に世界の主要都市名と標準時が書かれており、それを合わせることによってその都市の時間を表示することができる時計のこと。海外旅行などに行っても時差を計算することなく時刻を読み取れる。ワールドタイムウォッチとも言う。
セキュリティプッシャー
オメガ「シーマスタープロプロフ1200M」のケース上部に設置されたボタン。誤作動を防ぐため、このボタンを押している間だけ回転ベゼルを操作することができ、ボタンを離すとロックして固定される構造になっている。
セキュリティプッシュボタン
プッシュボタンから湿気や水分が浸入しないよう、ネジ込み式のロック構造にしたクロノグラフ操作用オタンのこと。
セコンド針
セコンドつまり秒針のことを指す。文字盤中央にあるものをセンターセコンドと言い、インダイヤル内にあるものをスモールセコンドと言う。
セミ・パーペチュアル
4年に一度、閏年の2月の末日だけ調整すれば、そのほかの年&月は自動的にカレンダーを正しく表示する機構。
セラミックス
狭義では陶土などを原料として焼結加工した陶磁器やガラス、セメント製品。広義では、炭化物や窒化物その他の各種原料を素材とし焼結した加工物全般を指す。耐摩耗性や耐熱性、耐腐食性に優れた特性を持ち、時計の場合もケースやブレス、ベゼルに広く活用されている。
セリタ
1950年創業のムーブ製造メーカー。もともとはETAなどからエボシュや部品を仕入れ、アッセンブリーするムーブ製造ブランドとして創業。
瀬戸引き(ダイヤル)
薄い金属の上に瀬戸を貼り付けてある陶器のダイヤルのこと。ポーセリンダイヤルとも言う。1930年頃まで高級時計などに使われていたが、厚くて加工が難しいので新素材が開発されるにしたがってその役を終えていった。
センターセコンド
秒針が、長・短針と同じセンター軸に設置された時計のこと。日本では中3針ともいう。
センター内臓ウォッチ
湿度や気圧、方位などを感知するセンサーをケースに内臓することで、現在地の高度や気圧、湿度、方向(コンパス)などをダイアル上にリアルタイム表示できるクオーツ時計のこと。
センターミニッツレコーディング
文字通りセンターの針が分積計算針になっていて、インダイヤルの分針を持たないクロノグラフのこと。スタートボタンを押すと、センターの分針が長針と同じように連続して動きながら測定を開始する。
ゼンマイ
機械式時計の動力源。香箱に収められていて、香箱真に巻かれたゼンマイが、戻る力を利用して機械式時計は動いている。昔はスチールを使用していたが、現在ではニバフレックスなどの特殊鋼が使われている。
ソーウインドグループ
ジラール・ペルゴ、ジャンリシャールを擁する企業グループ。2010年6月には提携したボッテガ・ヴェネタがブランド初の腕時計も発表している。
ソネリ
毎正時や15分ごとに、自動的に鐘の鳴る装置。鐘はボタン操作で任意に作動させたり、音が出ないようオフ状態に設定しておくこともできる例が多い。ちなみに毎正時と15分ごとに鐘の鳴るものはグランソネリ、毎正時と30分ごとに鳴るものはプチソネリと呼ばれている。