オーバーホール(分解掃除)について
オーバーホール(分解掃除)とは?
オーバーホールとは、機械を『分解』・部品ひとつひとつをチェックし、丁寧に『洗浄(掃除)』し汚れを取り除き「注油」、「組立」後、精度や防水機能各種検査等の「調整」を行い、ベストコンディションを整える作業です。
時計内部
遅れ、進みを測定してくれる機械
定期的なオーバーホール(分解掃除)の必要性
機械式時計は、多くの歯車等の回転する部品によって構成されています。それぞれの歯車が動くとき、金属同士や金属と人工ルビーとの間に摩擦が生じるため、その動きをスムーズにさせるオイルがさしてあります。しかし、オイルは少しずつですが常に蒸発しているので、一定の時間が経過すると再度注油が必要になります。
最近お客様からお預かりする時計で、「油切れ」が原因の故障で持ち込まれるケースが続いています。時計も長く使っているとオイルの劣化を起こし、部品の摩擦を増加させますが、そのゼンマイの力は強いので、無理をして部品を磨耗させながら作動し続けることになります。その磨耗がいろいろな不具合を生じさせ、精度が悪くなったり、故障の原因となったりするのです。そして、時計が止まるなどの症状が出た時には、すでに部品が相当のダメージを受け、多くの部品を交換せざるを得なくなり、高額の修理費がかかってしまうのです。
定期的なオーバーホール(3〜5年に1度)は、時計の健康診断のようなものです。故障の原因となる時計内部の「油切れ」を防ぐどころか、ネジのゆるみ、汚れや汗によるさび、ケース内部の腐食を早期に発見することにつながり、それらをオーバホールによって取り除くことによって、時計の寿命を長くすることにつながります。また、結果として部品の磨耗が少なくてすむので、部品の交換の必要性が少なくなり、全体的に考えると修理費も安くなります。
オーバーホール後3〜5年以上経過しましたら些細な不調でもオーバーホールされることを強く推奨致します。特に機械式の時計は最初のオーバーホールが重要と言われます。新品の時は摩擦によるオイルの汚れや細かな金属紛が出やすい時期である為、その後長く使う上でとても大切です。
時計の精度は職人の手に委ねられています
時計のオーバーホールは誰にでもできるという訳ではありません。その時計に関してある程度の知識と経験を持つ時計職人でなければ、時計に求められる「精度」をだすことはできません。時計の精度は元々の機械のスペックだけではなく、組み立てる時計職人によって大きく変わってきます。組み立てる際のほんのちょっとしたネジの締め具合でも「精度」は変わってしまいますし、時計の個体差もあるため調整の部分では数値では表せず、いわゆる経験から生まれる「勘」というものが重要になってくる部分があります。
その為、「いのうえ」ではブランドごとにオーバーホールをする職人の担当を分けております。そうすることにより、そのブランドごとによる「勘」をその担当の職人が極め、より高い「精度」を出すことにつながると考えております。「いのうえ」では、お客様により高いレベルで「オーバーホール」をご提供できるよう、常に心掛けております。
安心の1年間修理保証
有料にてオーバーホールを承った場合、別途、保証書を発行し、時計と共にお客様にお返ししております。一年以内(アンティーク品は6ヶ月間以内)に通常のご使用において生じた故障については、無償で修理、調整を致します。その際は時計に保証書を添えて、当社までお持ち込み・ご郵送下さい。
*ただし、概ね20年以上前のオールドキャリバーの時計に関しては、パーツの至るところに摩耗や傷みがあります。オーバーホールをしても部品個々の磨耗等により精度が改善されない場合やオーバーホール前よりも精度が落ちる場合がありますので、あらかじめご了承下さい。
次の場合は保証期間中でも有償修理となりますのでご了承ください。
- 不注意なお取扱い(落下や衝撃、水入りなどお客様の過失)による故障や破損
- 非防水時計で水、汗、ほこり等が原因となる故障
- 防水時計の一部が変造、非純正部品使用、磨耗、欠損等による防水性の欠陥が原因となる故障
- 非純正部品が使われ、これが原因となる故障
- 品質及び機能上影響がないと当社が判断した視覚的現象(拡大鏡等によって認められる小さな傷や仕上げ程度の範囲)
- お預かり時、既に発生していた瑕疵で修理を承わっていない部分の修理
- 経年変化による変質(文字板、針、ケース、ブレスレット等の変色やサビ等)
- 経年変化による変質(文字板、針、ケース、ブレスレット等の変色やサビ等)
- *その他予想されない瑕疵が発生した場合は誠意をもってご相談させて頂きます。