創業年=1868年 創業者=フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ 創業地=スイス、シャフハウゼン |
シャフハウゼンを「時計の町」にしたアメリカ人時計師の情熱を継承
スイスとアメリカの融合で孤高の時計ブランドに発展 ドイツとの国境沿いに位置するスイス・シャフハウゼン。スイス時計産業の中心地から遠く離れたこの土地で、1868年にIWCは創業した。創業者は、弱冠27歳にしてアメリカ・ボストンで時計製造会社の社長に就任したフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ。彼は、同業者が成功を求めて西部へ向かったのに対し、反対の東側に注目した。そして、スイスという小さな国で作られる時計の優秀さと、工房で働く職人の技術の高さに惚れ込み、北米市場向けの高品質な時計の製造拠点をスイスに設けたのである。 ジョーンズがシャフハウゼンに工房を構えることになったのは、同地にてライン川を利用した水力発電所を設置していた名士、ヨハン・ハインリッヒ・モーザーとの出会いによる。時計職人でもあったモーザーとジョーンズはすぐに意気投合。モーザーの水力発電所を頼りに、ジョーンズはアメリカの最新機械をシャフハウゼンに導入して時計製造を始めたのだった。 当初は、ムーブを製造するための工具の欠如や最新機器の操作訓練などで悪戦苦闘の日々。だが、その問題を解決するたびに、IWCはすべてを自社で作ることのできるコンプリートメーカーへの発展。スイス公認の万能時計職人(オルロジェ・コンプレ)の養成機関としても知られるようになる。20世紀に入り、IWCは欧州から世界市場へと進出。1930年代には現行基幹ラインとなる2モデルが誕生する。ひとつは、大型ケースに懐中時計用ムーブを収めたPルトギーゼ。もうひとつは、パイロット・ウォッチ・ラインの元祖マークⅨだ。特にマークⅨの完成は、誰もがあきらめていた高性能な耐磁構造を開発するきっかけとなり、1955年のインヂュニア誕生を促したのである。 その後もIWCは、世界屈指の技術力を駆使した傑作を次々と開発。1982年、当時の最高峰スペックを備えたダイバーズのオーシャン2000や、クオーツ時計から生まれ変わった画期的な永久カレンダー搭載のダ・ヴィンチなどの独創的なモデルは、多くの本格時計愛好家を魅了した。そしてシンプルなクラシックモデル、ポートフィノでは、比較的求めやすい価格帯ということもあって幅広いファンを獲得した。 これらのコレクションが現在も展開されていることからもわかるように、IWCではまず既存ラインの着実な進化が優先される。2009年は、2004年にGSTから独立したアクアタイマーの改良に早くも着手。そして見事、新型ベゼルを特徴とする、より高度な本格ダイバーズウォッチへと変貌を遂げたのだ。ブランドの基本理念である「プローブス・スカフージア(シャフハウゼンの優秀な、そして徹底したクラフツマンシップ)」。この言葉からは、着実な進化と革新的な機構開発を両立し続けるIWCの、時計製造に対する一途な愛がしっかりと伝わってくる。 |
― インターナショナル ウォッチ カンパニーの歴史(IWC)―
1868 | アメエリカ・ボストン出身のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズがスイスのシャフハウゼンで創業し、懐中時計のムーブメント製造を開始 |
1885 | 初のデジタル表示式ポケットウォッチを製作 |
1898 | 小型懐中時計用ムーブメントを使用し始める |
1903 | ”プローブス・スカフージア”を基本理念に掲げる |
1936 | 回転ベゼル付き航空時計マークⅨを発表 |
1938 | ポルトガル市場向けにポルトギーゼを製作 |
1940 | ドイツ軍にビッグ・パイロット・ウォッチを支給 |
1955 | 耐磁設計によるIWC初の自動巻き腕時計インヂュニアが開発され、大成功を収める |
1982 | 2000m防水のチタン製ダイバーズ、オーシャン2000を、F.A.ポルシェと共同開発 |
1985 | ダ・ヴィンチを発表 |
1989 | インヂュニアが磁界強度50万A/mの耐磁実験をクリア。耐磁時計の世界記録を樹立 |
1990 | 7年間の開発を経て、史上初めて腕時計サイズのグランド・コンプリケーションを完成させる |
1997 | ゴールド、ステンレススチール、チタンを仕様した新しいスポーツモデルGSTを発表 |
1998 | GSTアクアタイマー、フリーガーUTCを発表 |
1999 | マークXVを発表 |
2000 | 7日間パワーリザーブを備えるポルトギーゼ・オートマティック2000を発表 |
2002 | ビッグ・パイロット・ウォッチを復刻。スピットファイア・シリーズを発表 |
2004 | アクアタイマーがGSTシリーズから独立 |
2005 | 耐磁時計のインヂュニアが復活 |
2006 | パイロット・ウォッチ・ラインがフルモデルチェンジ。マークⅩ Ⅵを発表 |
2007 | ダ・ヴィンチがフルモデルチェンジ |
2008 | 140周年にヴィンテージコレクション発表 |
2009 | アクアタイマーがフルモデルチェンジ |